映画三昧の休日:渇き

以前から気になっていた「渇き」。

「告白」の中島哲也監督作品。

R15指定。

父親:藤島を演じる役所広司のシリアスな表情。

娘:女子高生の加奈子を演じる小松菜奈の美しい表情の中にある影。

 CMみかけたときから観たいなあと思っていた作品。

 

スタッフ】
監督・脚本:中島哲也
原作:深町秋生「果てしなき渇き」(宝島社刊)

【ストーリー】
元刑事のロクデナシ親父・藤島昭和(役所広司)に離婚した元妻から連絡が入った。
成績優秀なうえ、容姿端麗、学園のカリスマでもある女子高生の娘・加奈子(小松菜奈)が失踪したという。
自分のせいで全てを失った男が、再び“家族"を取り戻すべく、姿を消した娘の行方を追うことに。娘の交友関係をたどって行く先々で、語られる“知らない加奈子像"に戸惑う藤島。
想像を超えて肥大し、踏み入れるほどに見失う娘の正体。
やがて藤島の激情は、果てしない暴走をはじめる―。

※出典 Amazon

 

広告だけ観ていたときは、役所広司演じる父親は全てを失ったからロクデナシという不名誉な形容詞がついたのかと思っていたが、そうではなく、もともとブッ飛び過ぎていて、全てを失ったのだった。

 

そして加奈子は表向きは成績優秀でみんなから好かれる女の子、でもその裏では。。。

という、ドラッグや売春、現代の闇を象徴するような、まあ予想通り。

 

ストーリーは現在と過去を行き来するので、慣れるまでちょっとわかりづらかった。

 

藤島(役所広司)がとにかく、暴力的ですぐキレる。もうホント危険人物。

酒をあおるように飲み、そして薬を手放せない。

そして気になったのが、この薬。

藤島が精神科を受診するところが出てくるのだけど、診察している医師が手元のカルテにこう書いていた。

統合失調症躁うつ病?」と。

症状を抑えるために大量の薬を飲んでいるという設定なんだと思う。

 

急に怒鳴りちらしたり、殴ったり。

妻の浮気現場を押さえ、妻と浮気相手の乗る車に自分の車で突っ込んだり。

とにかくすごい。

監督のもつ、この病気に対するイメージってこうなのだろうか?

と、ふと思ってしまった。

 

それと平行して娘の学校で起こるイジメ、被害者を助けるがもっと深い闇に引きずりこむ娘。

こんなことが現実にあったらもう恐ろしいなんてもんじゃないが、これに近いものは、私たちのすぐそばで巻き起こっているのかもしれない。

 

映像はポップで楽しいまさに女子高生の世界!的な部分と、

父親のおりなす血だらけの部分とがあいまみれる。

 

でも始めから終わりまで一貫しているのが、父親の家族への思い。

これが普通じゃないから表現方法が下手だから、全く通じず結局失ってしまっているのだけど、これを取り戻すべくこれまた普通じゃない方法でひたすら追い求める。

もう一度愛してほしいから。

この気迫はものすごい。激しい。

躁状態

そう、主人公は躁状態のピークのまま愛を求めてブッ飛んでる。

現実世界なら強制入院てとこだが、映画の中ではまわりの人達も違う意味でブッ飛んでるので、そうはならず。

 

刑事役で出てる妻夫木くん。このキャラがこれまた普通じゃなくていい。

こんな刑事が本当にいたら困るのだけど、できればこういうキャラになりたいな。

気楽でいい加減で、でも仕事はボチボチして、ほどよくあきらめ感があって。

 

出てくる役柄はみんなどこか壊れてる。

みんなが心の奥底で持つ、表には決して出さないような部分が強調され演出されている。

 

現実離れしすぎな内容ながら、きっとどこか共感できる部分があるはず。

是非観てほしいけれど、双極性障害の方は状態の良いときに観る方がいいかも。。。

体調悪化しかねない。

私も見終わったときは濃すぎて放心状態でした。

 

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