読書:躁うつ病を生きる~わたしはこの残虐で魅惑的な病気を愛せるか?~

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 

久々に読書。双極性障害関連の本。

 

躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?

躁うつ病を生きる―わたしはこの残酷で魅惑的な病気を愛せるか?

 

 

自身が躁うつ病双極性障害である女性の著書。

躁うつ病でありながらの仕事、病状、薬のことなど自伝的な内容だが、その端々に恋バナが多く盛り込まれ、恋多き女性の一面も書かれていた。

それだけ躁のときの彼女は魅力的なんだろうと思う。

私の担当医も「躁のときの女性はとにかく魅力的になるからねぇ」と言っていた。

納得。

 

著者は精神病の研究者として、躁のパワーを存分に生かし一流大学教授の職を得、論文の発表や講演をしたり、はたまたUCLAに感情障害専門のクリニックを新設したりと社会的にも成功している。

その裏で自殺未遂や薬の副作用との闘い、躁と鬱のときの苦労もたくさん書かれていたが。。。

 

彼女は常に、精神病患者を診る立場、研究者の立場にある自分として「患者の立場で患者を診ることはどうなのか、教鞭にたつことはどうなのか」という思いと闘っていた。

幸い理解ある周囲の人たちに恵まれ、躁うつ病であることを理由に下ろされたり、不利益を被ることはあまりなかった。

彼女のまわりは研究者、医師、精神科医等が多いので、当然躁うつ病への正しい認識を持った人たちばかりだったことがその理由だ。

もちろん、彼女自身がすばらしい能力をもち、そして躁うつ病だからといって仕事ができないわけでもないからだ。

だが、その中でもやはり病気のことを話したことで態度を変えられたつらい経験もしていた。

 

躁うつ病であることをオープンにするか否か、それは私も常日頃考えていることだ。

私の仕事は社会福祉に携わることも多いので、同業者の一部では「躁うつ病双極性障害)」という病名くらいは知っている人も多い。

けれども、実際どういった症状なのか、どんな苦しみ、弊害があるのか、についてはあまり理解がない。

具体的なことは躁うつ病になった本人、専門家、もしくは身近に躁うつ病者がいる人しかわからない。

別にそれが悪いことではないし、そうであって当然なのだ、と思ってはいる。

でも、だからオープンにするのをためらってしまう。

躁うつ病双極性障害?ああ、そうか、だからそんな行動を。。。」と、理解してくれる人は一般にはいない。

躁うつ病の有名人を例えにだしても、その多くは自殺している。

すると「自殺する病気なの??」となってしまう。。。

私が躁うつ病であることを知っているのは4人だけ。うち3人は家族。

まあ、親には上記のごとく、「いやだ~みんな自殺してるじゃない!自殺だけはしないでよ。。。」なんて言われているが。。。

残る一人は同業者の同世代の女性だが、たまたまその子の友達にも躁鬱病らしき人がいるらしく、話したら理解があった。

ここから先は、もう誰にも話さない方がいいと私は思っている。

表向きは「そうなの、大変ね」くらいの対応だろうが、裏では「あの人病気なんだって~」的なことになるのは目に見えている。みんな噂話好きだからね。

 

本書の中で特に気になったのが、躁うつ病は遺伝するのか、ということをテーマにした会議のところ。

その中で発表された研究結果としてのひとつに、患者のいる家族の家系図に、躁うつ病にかかった者には黒丸、鬱病には半黒丸、自殺した者にはS字・十字型または斜線をつけていくというものがあった。

これは躁うつ病の発症の遺伝子を調べるために行われた研究調査の一端だが、著者本人も自分の家系図にこの印をしていった結果、父方の家系に躁うつ病者は繰り返し現れ、自殺または自殺未遂者もおり、父方の家系図には黒い印が星のように散らばり、かたや母方の家系図は真っ白だったという。

 

遺伝、するんだろうか。本書の中には明確な結果は書かれていないし、おそらく現代でもまだその詳細は解明されていないと思う。(双極性障害の解説本にも遺伝ではない、というものが多く見られる。)

躁うつ病の遺伝子を発見し、その結果、良い治療薬が開発され、また、より正確で早期の診断、早期の治療が実現するだろうが、その裏で、出生前診断なんかもされたりしたら。。。

私達双極性障害は排除されていくのだろうか。。。

なんかゾッとした。

本書のなかでは躁うつ者病者のもつ、芸術、ビジネス、政治、科学を強力に推進する力が失われることを危惧することが書かれている。

絶滅危惧種

なんか自分が貴重な存在に思えてきたよ。。。

 

遺伝子の解明、これは躁うつ病に限ったことではなく、ガンや白血病の遺伝子が解明され、出生前診断で、この子は早い段階でガンになる、白血病になるということが分かったら中絶するのか?ということでもある。

 

病気が解明されることは良い面もあるが、必ず裏面もある。

これはどんな物事でも必ずある。

ただこんなにいろんなことが解明され、遺伝子レベルでもいろんなことがわかっていったその先はいったいどうなるのだろう。

完全無欠な人間ばかりになるのだろうか。

そもそも完全無欠とはどういったことなのだろうか。

IQが高く、運動神経もよく、感情コントロールが正確で、病気も一切せず、一定の均質的な人間ばかりになるのだろうか。

遺伝子レベルで操作するのだからもちろん容姿もコントロール可能になるのだろう。

美女美男子ばかりになるのだろうか。

そんな世界、きっと面白くない。

 

長くなったので続きは次回。。。

 

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